2012/12/17

気合の変奏曲。


気がつけば最近、変奏曲ばかり弾いています。


先日のクラッセンではベートーヴェンの変奏曲、
コンクールのために準備しているベートーヴェンのソナタ12番は、第1楽章が変奏曲、
そして、ブラームスの大作の一つである、ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ。


ブラームスに関しては、ベートーヴェンコンクールのために大量のベートーヴェン作品に囲まれた日々の気分転換として取り組み始めた新曲ですが、
若干ベートーヴェンを差し置いて、かなーりハマっています・・・。


いつだったか、アンドラーシュ・シフのオール変奏曲リサイタルを聴きに行って以来、変奏曲を見直し、
ソナタなどと並んで、作曲家たちが変奏曲形式で大曲を書こうとした気持ちが理解できたきっかけでした。




どの楽曲を演奏するにも当てはまることなのですが、
変奏曲を演奏するときは、特に、如何に適切なテンポで弾くかがカギになっていると考えています。


思えば、論文でもベートーヴェンの後期ソナタを取り上げて、
終楽章の変奏曲において、各変奏の演奏速度について論じたのだった・・・。


「変奏」という題されているだけあって、各変奏に様々な演奏技法が散りばめられていて、
ついついその技術的な都合でテンポ設定してしまいがち。


常に同じテンポで演奏するということではなく、勿論テンポは微妙に全て違うのだけれど、
一貫性とストーリー性を見いだせないかという視点で、そこにある根拠を自分なりに考えたのです。




この、通称ヘンデルヴァリエーション、
25もの変奏と、おまけに最後にフーガまで付いていて、30分という演奏時間の大作!
そして、ブラームスの話には何かと付きものの、クララの誕生日のお祝いで彼女に献呈したという。


言ってしまえば、恋文のようなはずなのに、
この健康的で明るくて、斬新さ満載の壮大な曲を書いた彼の気合の入り様に、
思わずこちらまでほくそ笑んでしまいます。(笑)


25の変奏・・・ではなく、25の練習曲のようにピアニスト泣かせな技巧が要求されますが、
技巧の頂点であるパガニーニの主題による変奏曲とは対局を成せるように、
自分なりにこの作品の真意にアプローチしていきたいと、僕も気合を入れていきます。(笑)




論文作成のときもそうだったのですが、変奏曲は聴き比べがすごく楽しいです。
今のところの理想は、尊敬するケンプの音楽的センスを持ちつつ、カッツェンのように堂々と弾ききりたいです。






今年もあとわずか。

年末年始の旅に向けて、もうひと頑張りです。


2012/12/01

生命力。





















今年も既に、至るところでクリスマスマルクトが開き始めています。



こちらの季節感は、とてもシンプルだなと思います。

こうやって冬が始まれば、街にはイルミネーションが点灯し、
クリスマスマルクトでプンシュやらを飲みながら身体を温める。

夏になれば、外では半裸でせっせと日焼けをしたり、湖で泳いだり、
夜遅くまで店の外の席で、心地よい夜風にあたりながらお酒を交わす。

(勿論、やっていることは他にももっと沢山ありますが・・・)


ウィーンには二年間しか滞在しませんが、
きっとこれから先も、そう変わりなく、ここの人たちは毎年の季節を楽しんでいくんだろうなという、
決して失礼な意味はなく、容易に想像がついてしまうのです。


クリエイティブかと言われると、ちょっと返答に困る部分もありますが、
毎年裏切られることなく迎えられる、その感覚は、
もはや季節感の実感だけではないような気がします。


日本でいう、春の桜(花見)や夏の花火、秋の紅葉といったようなイベント的なものではなく、
もっと「生きている」という実感をおもわせるような、そんな存在とでも言うべきでしょうか。

僕にとっては、不思議な感覚です。



































ようやく風邪も治り、長く続いた厄介な咳も止まりつつあります。

病床で培った読書癖は、おさまることがありませんが・・・。



2012/11/25

弟子バカ。


前回の更新から、約一ヶ月経っていました。

この一ヶ月は、色んなことを考えたり、感じたりして、
特別忙しかったわけではないのに、あっという間に時間が過ぎていきました。

日本の大学生活も、あっという間に六年間が過ぎていったのですが、
それは、今の時間の過ぎ方と全然違うように思います。






忙しいって、良いような悪いような、紙一重な状態ですよね。


がむしゃらに過ごした六年間は、とにかく自分に色んなことを課して(予定を詰めて)、
後ろを振り返る暇もないくらい、ただただ前に進むしかない状況を自ら作っていました。

それは、とても充実していたと思います。

その後、ウィーンに来て、
限られた二年間だけは、自分の事に専念する時間にしよう!という決意と希望を持って、いざ留学生活を始めましたが、
突きつけられた現実は、自分にはとても辛いものでした。


忙しいという、ある種の盲目状態によって、如何にこれまで自分と向き合っていなかったか。
忙しさの中でも最善を尽くすという充実感によって、全くこの状況に気づいていませんでした。


26年間、何をしていたんだろう・・・とまでは、悲観的にはなっていませんが(笑)、
今気づけただけでも、まだマシなのでしょうか・・・。


時間がある今だからこそ気づいたのですが、
ピアニストって、ピアノだけ弾いててもダメなんですね。(笑)
その人が経験してきたこと、見てきたもの感じてきたもの出会ってきたもの全てが人間形成につながって、
それが、音楽に表れる。
演奏家の音楽は、その人の人格・人生そのものが表現されるということが、
今更、ようやく実感できたのです・・・。

哀しきかな、これが26歳男の発言です(笑)




この世の中には、僕の知らない、素敵なものが沢山溢れていました。
知らないというよりは、知ろうとしなかったり、興味が湧かないと決め付けていたり。

勿体無いことをしてきたなという後悔がないわけではありませんが、
これからでも、遅くない。ゆっくりと、それらを拾っていきたいと思います。





そうこう行ったり来たりしている間に、
恒例のクラッセンアーベント(門下生コンサート)や、公開レッスン受講などのイベントもありました。



やっぱり、この先生についてよかったなと実感する日々を送っております。
ただただ、安定した結果が残せないのが申し訳ないのですが、
厳しくも、自分のことを理解してくださる師匠に教わることができるのは、本当に幸せです。






「親バカ」ならぬ、「弟子バカ」?なのかな(笑)


2012/10/31

大事な時。


今日は、週に一度の実技レッスンの日でした。



自分なりに、自分の弱点と向き合って、
克服するなら今しかない!という想いで、毎回のレッスンに臨んでいます。

しかし、そう簡単にはいきませんね・・・。
レッスン中、舌打ちが癖になってしまいました。(笑)
勿論、曲に対してじゃなく、自分に対してです。

どうしてだろう。
あんなに強い意志を持って、最初に通し始めるのですが、
あんなに気を付けようと思っていたことが、一気に真っ白になって、
でも曲を通していく途中で、少し復活したり、沈没したり・・・

音楽って、基本的には誰かに聴いてもらうとき、
それが生だとすれば、その一回に全てがかかります。

その一回のチャンスで、どれだけのことを実現して伝えられるか・・・
二回目ならできるなんて言い訳は、意味がないのですが、
一回目に顕著にできない自分にとって、それを克服することが、今の最大のテーマになっています。

普段の技術的、音楽的な練習に加え、もはや精神的訓練のようになっています。



そして、このレッスンのある火曜日は、
仲間とゆっくり話すことのできる機会のある日でもあります。

お互いのレッスンが続いているので、
聴講は非常に勉強になるし、お互い時間が許せば聴き合い、
その後、軽く食事に行って帰る、というのがお決まりのコースになりつつあるのですが、


いや、全然軽くではなく、今日は開店時間から閉店時間まで話し続けていました。(笑)





数少ない、自分の理解者である人のうちの一人で、
一般的には「そんな話、しないでよ・・・」というようなことも、真剣に聞いてくれます。


僕自身のことですが、最近は本当に考えることが多くて、
頭の中を沢山のことがめぐりに廻っているこの状況下、
普通にしてても不器用な分野で、今、人生最大の不器用さを発揮しています。


今日は、そんな自分の混沌とした気持ちを、
少しでも(自分にとってはかなりですが)共有してもらえて、本当に嬉しかった。

勿論、これは自分で切り開いていかなければならないことなので、甘えるつもりはありません。
でも、こうして、話せる相手がいるということが、心からありがたく感じた夜でした。



人生、柔軟に生きていかなきゃ損ですね!
と、柔軟とは程遠い自分が、少しだけ思えたのでした。(笑)


2012/10/14

補充。


今夜は、久々の徳島トリオ会でした。


去年のいつかの投稿で書いていますが、
徳島で偶然知り合った、同時期留学の、同門の仲間です。





特にテンションを上げて臨むこともないし、
面白い話や真面目な話をしなければならないわけでもないし、(割と真面目な話は多いけど。)

どんな状態でも自然に会うことのできる、本当に貴重な仲間です。




今日は、キムチ鍋。



























最近、めっきり冬の空になってきたウィーンで、早くも初鍋をしてしまったのです。

締めのインスタントラーメンは、最高でした・・・。
材料のほとんどは、いつもお世話になっている、韓国食材屋のナゴンで手に入ります。






ここ最近、
留学生活も残り限られてきたことや、自分の人付き合いの仕方について疑問を持ってしまったこともあって、
ピアノに身を任せてしまったというか、
音楽は何時も裏切らないので、いつも以上に頼りにしてしている時期に入っていました。

これは、ピアニストとしては良いことになるのかもしれませんが、人としてはあまり良くはなく、
ついつい外界と自分を切り離してしまう時期でもあるのです。

でも、こういう時期も、たまにはいいんじゃないかとか、たまには必要なんじゃないかとか、
自分をフォローする感情が後付けされて、それでなんとかバランスを保っているのですが、

そんなセンシティブな状態でも関係なく会える仲間というのは、
自分で言うのもなんですが、偉大だなと思っています。



・・・と、なんともまとまりのない文章ですが、
軽くお酒も入り、密かにものすごく感情的になっている自分も、とても自分らしいというか、いつもの自分なのです・・・。

とにもかくにも、明日からも、また頑張ろうと思います。


2012/10/11

その弐、フランス。


フランス料理。






ヴィシソワーズくらいしか知らない、
特に普段食べたいとも思わない、フランス料理。



やっぱりお米が好きだし、
調味料からして、醤油だったりみりんだったり、
どうしても日本の味を欲してしまう身体になってしまっています。

だから、ウィーンでほぼ毎日・毎食行っている自炊も、
ご飯を炊いては、日本の味に仕上げてしまうおかず。
パスタを作っても、和風味か中華味になってしまうパスタ。
ついつい茹でてしまう、うどんや蕎麦。



ウィーン料理、勿論美味しいものもありますよ!

僕のイチオシは、ニンニクのクリームスープ。
(でもこれはウィーン料理なのかな・・・?)

にんにくの香りがとても強いですが、にんにくの味しかしない!なんてことはなく、
結構塩味の効いた、濃厚なクリームスープです。

一応、メイン料理の前に頼むものですが、
このスープだけでも、しっかりと存在感のある料理です。





さて、本題のフランス料理。

今回の旅は、命懸けであちこち移動したので、
まともに食事をしたのは2回でした。笑

しかも、そのうち1回は、夜10時くらいにようやくありつけた食事で、
写真を撮る余裕もなくかぶりついた、牛肉のリブステーキ・・・。


そして、あとの1回は、
モンサンミッシェルに観光した際の、ランチだったのでした。



















オレンジが基調の、テラスレストラン。


















魚介のスープ。


















名物のオムレツ。


















濃厚ティラミス。






オムレツが名物というのは、なんでもここがオムレツ発祥の地らしいのです。

経費がかからず栄養価の高い料理を、というコンセプトのもと生まれたレシピで、
卵白はメレンゲ状にして、美味しいソースになっていました。


ウィーン料理と比べ、味付けが洗練されていて、都会の料理だなという印象。
特に魚介のスープは、色んな旨みがあって、とても味わい深かったです。

しかし、ちょいお高かったなあ。

といっても、こちらの三品のコースで、20ユーロちょっとですが・・・(2500円くらい)
でも、貧乏留学生には、かなりの贅沢です!



リブステーキといい、このコース料理といい、
美食の国と言われる理由はそれなりにあるのだなと、感じました。

きっと、クオリティーの高さが、ちょっと他とは違うのでしょう。

その点では、少し日本に近いものは感じました。



















ここのスズメは、きっと豊富な餌があるのでしょう。
非常に、お太りになっておられました・・・。


2012/10/09

その壱、フランス。


さて、フランス旅行のことについて、少し書こうと思います。



今回、何故フランスに行こうかと思ったかというと、
本当のところは、一緒に行く友人がもう行き先をフランスでっとある程度決めていたからですが、
正直、自分だけではなかなか行こうと思わないパリに、
こんなきっかけがないと行かないだろうなという想いのもと、
自分の中では一生に一度の最後のパリになるのではと思いつつ、決めたのでした。


不思議なもので、
パリをはじめ、ニューヨークやロンドンといったあまりにも大きな中心都市に興味のない僕。

東京生活がそれなりに長いからでしょうか、
なんとなく想像のついてしまう都会的な都市には行こうと思いません。





しかし!
パリって、こんなに芸術に溢れた所なんだと、イメージと違った面に、驚きました。
というのも、パリ観光には一日分しか費やせなかったのですが、信じられないことに、

ルーブル美術館→ヴェルサイユ宮殿→オルセー美術館

と、3つを一日で見てまわったからでしょう。芸術に浸りっぱなし。
この強行スケジュールも、なかなか一人でこなす元気はありません。笑

















ルーブル美術館。ガラス張りのテントのようなところの地下が、入口になってます。
なんと言いましょうか・・・大きすぎて、広すぎて、
3時間でまわらなければならなかったので、とても全部は見きれませんでした。
















































































































要所ばかりですが、せっかくなので、写真を。

























セーヌ川沿いに、次なる目的地も目指して。こういうブラブラ散歩が、一番好きです。
























これまた有名な、門ですね。


















凱旋門を中心にのびる道。
























怪しげな空に向かって、エッフェル塔。(このあと雨が降りました。笑)



一気に載せると凄まじい量になるので、フランスは小分けにして写真は載せます・・・。













そういえば、今回の旅行で、はじめてLCC(格安航空会社)を利用しました。
学生の身分ですし、抑えられるコストは抑える、これはどこに旅行するにも鉄則です。

ライアンエアーという航空会社。
ウィーンからは飛んでおらず、バスでスロバキアの空港まで行ってからの飛行機でした。

確かに航空券は安いのですが、
機内サービスは勿論のこと、手荷物を預けるのにも、座席指定するにも、
一つ一つのオプションが有料化されています。

よって、機内持ち込みの荷物を10キロに抑えることや、
座席が指定ではないので、並んで座席争奪戦に備えたり、
普段気にしないことを気にしなければならないことが、多々ありました。


驚いたのが、CAの人たちは、
人件費削減の影響を受け、労働基準法を犯すまでの勢いで働かされ、
疲労や眠気と闘いながら働く人も少なくないという事実です。

格安の裏には、こんな事実も隠されていたのかと思うと、
多少のサービスの悪さを気にする気持ちにはなれません。
むしろ、それでも笑顔で頑張っているCAの人たちに、温かい気持ちにすらなれました。



日本にもいくつかありますよね。
スターフライヤーやスカイマーク、エア・ドゥ・・・。

いくつか利用していましたが、日本にはそういう実態はないような印象でした。
本当のところは、勿論わかりませんがね。

知らない世界って、本当に沢山あるものですね。




2012/10/04

ベストパートナー。


10月が始まり、レッスンも始まり、またいつもの生活に戻りました。






この夏から、頻繁にタンデムパートナーと会うようにしています。
ご存知の方もいるとは思いますが、語学をお互い教え合うパートナーのことです。

勿論、語学学校に通っていた頃にも友達はいたのですが、
彼らも自分と同じくドイツ語を勉強しにきているので、結局、普段の会話は英語なんですね。

英語も堪能ではない僕にとって、だったらドイツ語で話そうよーーーー!っという感じだったので、
なかなか理想とは言えない環境でした。

そして、更に良くないことに、
今僕が在籍しているコースは、実技レッスンのみ集中して行うコースなので、
他の学生との関わりがほとんどないのです。

この状況、良くないなと思いつつも、語学学校に通うことでごまかし、ついには一年経ってしまいました。



そんな中、ついにこの夏知り合えた、生粋のウィーン人であるパートナー。

彼は、特別に日本のことについて勉強している学生ではないのですが、
単に日本語好き、更には、日本のゲームやアニメ(ジブリ)好きというだけで、
難しい漢字まで読めてしまう、頭の良い人です。

しかも、趣味でクラシックギターをやっていて、最近はピアノとギターでワイワイやっています。(笑)



控えめという日本人気質を少し持った、
インドアだけど暗い人ではなくて、
音楽という共通項も持っている、

なんて完璧なタンデムパートナーなんだろう!!!(笑)

ということで、楽しく勉強しております。









さて、先日旅行してきたフランス。




















写真は、モンサンミッシェルにて撮影した、朝焼けのシーン。

静かで、空気が澄んでいて、穏やかで、
僕にはこういう所にたまに出向くことが必要なんだなと、ブレゲンツ旅行以来、また感じました。




ちょっと触りを紹介したところで、
・・・近々写真をアップしたいところです。(笑)


2012/09/25

初!


!!!





身内が、ウィーンに来てくれました(笑)


姉と、姉の旦那さんである大輔さんが、
一年に一度の夫婦での旅行で、ウィーンに来てくれたのです。

僕がいなければ、たぶんウィーンを選ばなかったと言っていたくらいですから、
思っていたほど、オーストリアという国は、誰にでも馴染みのある国とは言えないのですね。



何を食べたいか尋ねたところ、

「ウィーン料理以外。」

という、まさかの応えが返ってきました。(笑)

なんでも、もう何食かウィーン料理を食べてしまった様子で、
しかも主要なウィーン料理は網羅していたので、
僕も安心して、他のお店を紹介できました。


中華だったらあそこ。
イタリアンだったらあそこ。
コリアンだったらあそこ。
ベトナムだったらあそこ。


そんな中、今日はタイ料理をチョイスしたのでした。
























お腹いっぱいになったあとのお皿で、すみません。(笑)



姉がウィーンにいるのが、若干不思議な感じもしましたが、
なにより、勉強を頑張っているウィーンで家族と会えたことが、本当に嬉しかったです。


やはり、話していて何の気遣いもなく、自分の最も裸な状態で居られるのは、
どんなに親しい人と比べても、家族は特別なものです。

大輔さんにも、いつも応援をしてもらって、
もう一人の姉とその旦那さんにもいつも応援してもらって、
最近誕生した、姪っ子や甥っ子には癒され、
(両親については、特に言うまでもなく支えてもらって、)

まだ自立もしてないし、結婚もしていない自分にとって、
これだけ沢山の家族に囲まれていられることが、本当に精神的支えになっています。




留学生活二年目も、頑張ろう!

っと、改めて思えた夜になったのでした。










さて、姉夫妻はウィーンの次はギリシャへ行ってしまいますが、
そういえば僕も、昨日までフランスに旅していたのです。


これがまた、トラブルに見舞われた、なかなか大変な旅行となったのですが、
よく知らなかったフランスという国に触れて、結果的によかったと思える旅となりました。

大概ヨーロッパにも慣れてきた自分もいますが、
それでも異国を知れることは、やはり楽しいものです。

追々、フランスのことも、頭の整理がついたら、綴りたいなと考えています。



2012/09/12

縁。









































先日、シューベルトの縁の地探索をしました。


せっかくウィーンに居るうちに、
勿論、今や隣の県のようになったヨーロッパの国々もまわりたいですが、
もはやご近所さんであるウィーン市内をまわろう計画が、今少しずつ進行しております。

時間が限られていたので、少しだけの散策でしたが、
生家からのスタートです。(上写真)


























最初の部屋。
壁にはシューベルトや、彼と関わりの深かった人物の肖像画などが掛けられており、
中央では彼の作品を聴くことができるコーナーが設置されていました。



















シューベルトが実際に使っていたメガネ。割れていましたが、残っているんですね。
サイズから想像するに、顔が小さかったようです。

























次の部屋にはピアノもありました。
ハンガリーでリストの家に行った時は、あまりの数のピアノに驚きましたが、
貧乏なシューベルトはやはり1台か・・・。
でも、僕の感覚からすると、それが普通なのですがね。(苦笑)
























「未完成交響曲」という古い映画で出てくるのですが、
シューベルトは愛用のギターを質屋に入れて手放してしまう、という話があります。
実際にどの程度ギターに愛着があったかはわかりませんが、
ギターの入った室内楽曲があることはあるみたいです。
























アパートの中庭?のようなスペース。
1階左側(日本で言う2階)がシューベルトの部屋で、
その下はコンサートホールになっていて、今でも使われているそうです。
この写真では見えませんが、手前右側には井戸があり、奥は小さな花畑が広がっています。
・・・と、親切な見張りのおじいちゃんが教えてくれました。





さて、お次はリヒテンタール教会です。
シューベルトが洗礼を受け、子供の頃によく通った教会。











































少々辺鄙な位置にあるせいか、観光客で賑わっているわけでもなく、
中は常時開放されているにも関わらず、ご覧の静けさ・・・。
が、しかし、これがまた何とも言えない美しさの壁面や天井に、
これだけ落ち着きのある空間がこんなところにあったのか!という驚き。

ここでシューベルトは幼い頃に洗礼を受けたのかと思うと、
しばし彼の作品を思い起こしながら、ぼーっと座り込んでしまいました。







そして、場所を少し変えて、最期の家へ。






















































シューベルトが親友ショーバーへ宛てた手紙。
もう寝たきりの彼は、ベッドとソファの往復だけの生活をしていたので、
親友に、自分の病気の深刻さと、何か読む本を届けてくれないかという内容が記されています。

この頃、伝染病にかかっていた彼を、最愛の兄がひきとっていたのですが、
皮肉なことに、この最悪な時期に、僕にとって大切なピアノ曲が書かれていたのです。

外にもまともに出られない、奥まった小さな部屋に閉じこもり、
何か食べてもすぐに吐き出してしまうくらいの苦しみの中、生まれた作品。

でも、彼は貧乏で病気にもなってしまい、
生前には大成功と呼べることは成し遂げられなかった(すぐには認めてもらえなかった)わけではありますが、
親友や、最愛の兄など、人には恵まれていました。



























そしてこれが、葬儀が行われた聖ヨーゼフ教会。
最期の家から、すぐ近くにありました。













































リヒテンタール教会とは違って、質素な内装。
1828年11月19日に永眠、翌々日、ここで葬儀が行われました。
この教会は、常時開放しておらず、柵越しにこの写真を撮ることしかできませんでした。









と、縁の地探索はここまで。

少しだけでしたが、自分にとって大切な作曲家の見ていたもの、触れていたものに、
自分も接することができて、嬉しかったです。


次は、ベートーヴェンだな。
ドイツ生まれの彼ですが、実はウィーン滞在がほとんどの生涯。

こちらも、今から楽しみです!



2012/09/08

講習会。


今年の夏が、終わりました。


怒涛の日本での本番を終え、
ウィーンでの講習会も昨日終わり、あとは冬ゼメスターの開始を待つのみです。




講習会では、相変わらずの充実のレッスン。
普段は90分のレッスンなのですが、講習会の60分がとても短く感じました。


レッスンとは別に、コンクールと受賞者コンサートに出演させていただき、
8月からの疲労も重なり、最後は体力勝負でした。

改めて、やっぱり音楽家も体育会系だなあと思います。(笑)




コンクールって、コンサートと比べて、
どうしてこうも、自分にプレッシャーを与えてしまうのだろうかと、反省しました。

明らかに、緊張の種類が違うので、自分でも嫌になります。

人前で演奏するという行為は全く変わらないし、
特別視することでプラスの方向にいくわけでもないので、
僕の場合は、邪魔な感情です。

















このコンクール後の冴えない顔をご覧いただければ、おわかりでしょう(笑)


コンクールの後、師匠の最後のレッスン、そして受賞者コンサートという流れでしたが、
レッスンが白熱したことは、言うまでもありません。

音楽的には、ほとんどプランが固まっていた曲目ですが、
細部まで突っ込んだ指摘が続き、何度も初めから弾き直し。

師匠の、非常に熱のこもったレッスンがおこなわれました。

終いには、今の自分には、とても痛い言葉もいただいてしまいました。





「できるのだから、あとは実現するだけ。」





そう、自分でもわかっていました。
師匠に言われることは、確かにレッスンで反応することはできるのですが、
それを、自分のものになかなかできないのです。

こればかりは、練習の時の、繰り返しの回数なのでしょうかね。
そのへんを怠っているわけではないのですが、
それでも、簡単には実現できないのが現状です。



「コンクールより上手く弾けるよね?」とプレッシャーのかかったコンサートは、
細かい事故はありましたが、まあまあやるべきことは果たせたとは思います。

でも、また大きな課題にぶつかった感は、これからしばらくは続くことでしょう。
























昨日演奏した、バロックザール。

















同じ講習会で知り合った仲間から、一輪の花をいただきました!
ありがとう!!



2012/08/31

ただいま、の場所。


約二週間の日本滞在が終わりました。



予想通りの、なかなか充実した日々でした。

家族とのんびり過ごした三日間は、ウィーンでの日々が懐かしく、
東京であくせくと動き回っている時は、実家での日々が懐かしく、
そして今日から早速ウィーンの講習会が始まると、日本での日々が懐かしく、

ついこの間のことが、何かあるとすぐに懐かしく感じてしまう、
この感覚も、悪くないなと思っています。






到着してすぐに師匠のレッスンがあり、
「おかえり、また一緒に頑張ろう」という想いの、力強い握手を何度か交わし、
去年には感じなかった、師匠との信頼関係を感じることができました。


帰りの飛行機では、なんだか感傷的になってしまい、
これはまずい方向に行かないといいな・・・と不安だったのですが、
悩む暇も無くすぐに講習会に参加することにしておいて、よかったです。(笑)


というのも、留学前から決まっていた、どうしても弾かなければならない演奏会が半年置きに決まっており、
ウィーンと日本間の交通費まで出していただいているので、自分の中でプレッシャーも多く、
その演奏会が、なんだかんだ、大きなイベントという存在となっています。


そのお陰で、定期的に日本を思い出すことができ、
その影響で、自分の居場所のようなものが、わからなくなってしまうのです。


ただいま、と言える場所が、どこなのか・・・。
東京には、自分の家もありませんしね。





まあ、そうこうしているうちに、限られた留学生活は終わってしまうのではありますが、
この、狭間にいる感覚・・・楽しめるくらいになっていると、いいですね。











さて、日本では、公言したとおり、
遊びは一切なし!弾いて、食べて、弾いて、食べて、の繰り返し。(笑)



特に食に関しては、健康一切無視の、自分の欲求のままに食べてきました。

(3キロも太ったことは、見ぬふりです。)

でも、ウィーンに戻って、早くも1キロは落ちた感じ。

(見ぬふりできていない・・・。)



弾くほうも、充実。

カメラを持ち出したのは、最後の渡邉麻子さんの演奏会だけという・・・
追われっぷりでした!(笑)

















※麻子さん、ごめんなさい、二人が写っているのがこれしかなかったのです。

僕の隣りは、譜めくりとカメラマンをしてくださった、通称みかん先輩です。
























ホールで練習中の僕。
怖いですね。(笑) ホールの感じが難しかったのです。イライラ・・・。



























そして、突如現わるこのカレーの写真。
ココイチのカレーデリバリーを人生で初めて経験してみました。

僕は、無類のカレー好きですが、
宿泊でお世話になった友達も、無類のカレー好きなのです。(笑)

だから、ご飯何にするー?となったら、
カレーでいっかー!と、安定した会話がそこには生まれ、
この日の夜は、二人で自宅カレー祭でした。

僕は、ほうれん草カレーに納豆のトッピング。
カレーと納豆って、合うんですよ!

勿論、辛さはかなりきつめで・・・。


そういえば、子供の頃、母が仕事で夜帰れない日、
朝仕事に行く前に、よくカレーを作っていってくれていました。

それは、10皿分くらい作ってあって、
母としては、残りは次の日も・・・という考えがあったようなのですが、
それを、姉と僕で、全てたいらげていたなんて事はよくあったものです。
(勿論、姉は1皿だけ。)



と、書いているだけで、カレーが食べたくなるという(笑)
今夜作ろうかな・・・。







カレー万歳。

2012/08/16

眠れぬ夜。


日本に帰ってきて早くも4日間が経ちました。


中東経由でこれでもかというくらい飛行機に乗り、
東京には行かず、実家に直行。

親と道後温泉旅行をし、
その後、福岡に住む姉のもとを訪れ、姪っ子との再会と、甥っ子との初対面を果たしてきました。
(可愛かった・・・・・・。)

やはり、家族のもとに帰れるというのは、嬉しいことです。





学部・大学院時代はほとんど帰省せず、元旦すら練習に追われていた時期もありました。


それはそれで、自分なりの青春を謳歌していたので何も気にしなかったのですが、
今思えば、勿体無いことをしたな・・・と後悔しています。

じっくりと物事を考えられるようになった最近気づいたことは、
時間の限られた人生、それが何年間かはわからないけれど、

大切な人との時間を大切にすること、

そして、学べるだけ学ぶ必要が人間にはあるということ、です。


この二点が、今の自分にとって最も必要でやるべきことのようです。



・・・って当たり前か(笑)
でもですね、気づくのに26年かかったのです(>_<)







さて、明日からはいよいよ東京生活です!

怒涛な日々になると予想される東京生活・・・
あまりの恐ろしさに、こんな夜中に目が覚めたのでしょうか、それとも時差ボケでしょうか(笑)

今回遊びは一切なし!!!
仕事、本番、そして夜な夜な人と会う、これだけです。





さーて、エンジンかけ直します。



2012/07/30

この夏の帰国。


皆さん、こんにちは。

日本は猛烈な暑さが続いているとよく耳にするのですが、
寒かったウィーンも、また少し夏らしい日が戻ってきております。






さて、早くも7月が終わろうとしています。




この夏の帰国が終わると、留学生活2年目に突入します。
本当に、月日が流れるのはあっという間ですね・・・。
この一年は、ピアノに集中でき、レパートリーも沢山増えた、良い年でした。

二年目からは、
勉強が出遅れているドイツ語と向き合うことと、
コンクールへの積極的な挑戦を目標に、頑張っていきたいと思います。

そのためにも、もう少しだけの辛抱。

もう少しだけ、レパートリー作りに専念したいと思います。









8月は二週間程の日本滞在ですが、ありがたいことに、ピアノ漬けな日々になりそうです。

今はウィーンでゆったりとした夏休みを過ごせているので、
日本ではバリバリ働いて、合間に大切な人たちとの再会を果たしてこようと考えております。





8月19日(日) 《声楽発表会 サマーコンサート》
場所:音楽堂 ano ano(JR大塚駅)
時間:14:00開演
曲目:声楽曲の共演・ソロ演奏
J.S.バッハ◎プレリュードとフーガ ヘ長調 BWV880
ドビュッシー◎映像第Ⅱ集より 「金色の魚」
ショパン◎エチュード 作品10-4 嬰ハ短調


8月21日(火) 《ベートーヴェン ピアノソナタ全曲演奏会 シリーズ5》
場所:広島東区民文化センター スタジオ1
時間:18:00開演
曲目:ベートーヴェン ピアノソナタ 第7・9・12・14・28番
※第12・28番を演奏させていただきます。


8月24日(金) 《智の会》
場所:未定
時間:未定
曲目:声楽曲の共演


8月28日(火) 《日本声楽家協会 研究員リサイタル シリーズ9》
出演:大久保陽子・渡邉麻子 (ピアノ 平塚洋子・津島圭佑)
場所:日暮里サニーホール コンサートサロン
時間:18:30開場 19:00開演
曲目:
越谷達之助◎初恋
畑中良輔◎秋の空
團伊玖磨◎舟唄(五つの断章より) 他 日本歌曲 
ロッシーニ◎約束
マスカーニ◎月
ヴェルディ◎静かな夜(オペラ トロヴァトーレより)  他 イタリア歌曲






これらの本番の合間に、レコーディングや友人との試演会、
そして共演者との練習で、本当に盛り沢山な夏になりそうです。

特に、声楽曲の共演は、数十曲にも及びます。30超える?


声楽曲の伴奏をすることは、僕の音楽ワークにおいて非常に大切です。
器楽とは違って、生身の人間が楽器である声楽。
人間が生み出す「自然な」音楽が、そこにはあるような気がします。

楽器を演奏すると、実際に音が出ているのは目の前にある楽器からなんです。

そこには、イメージが伝達され音になるまでの距離感があって、
その微妙な距離感を持ったまま、音楽を体で感じて演奏しなければなりません。

うまく説明できないのですが、
その距離感故に発生する、不自然さ?を、克服しなければいけないのです。



楽器を演奏する器楽と、自分が楽器の声楽。

僕にとってこの2つの共演は、とても良い刺激となっています。







今からワクワクしていて、早くも荷造りを少しずつ始めている自分。(笑)

楽しい滞在になるように、少しでも練習を頑張って帰ろうと思います!


2012/07/28

2つの目的。


いざ、ブレゲンツへ、
電車を乗り継いで、向かうこと約7時間半。


友人がいたおかげで、長い電車の旅も、何の苦にもなりませんでした。

この間のオランダ旅行は一人だったので、1時間半の飛行機の旅すら長く感じた・・・。
不思議なものですね。






今回の旅のプランは、


第1日目→到着後、ホテルのチェックインをして湖上のオペラ鑑賞。


第2日目→ボーデン湖のクルーズで、花の島「マイナウ島」へ。


第3日目→ブレゲンツ観光として、標高1064mの山、プフェンダーへ。夕方の電車で帰宅。








最近、共感することが多いという理由で、タレントの眞鍋かをりさんのブログを読んでいます。
そこに書かれていた彼女の一人旅のモットーとして、


「旅行先での目的は2つだけ設定すると丁度良い」


というのを、気持ち参考にして、
湖上オペラとマイナウ島の2つだけを予定して、僕も旅行をしました。






せっかく足を運んでいるのだから、限られた時間いっぱいいっぱいできることを・・・
というポリシーを持っていた時期もあったのですが、
無理せず、絶対にやりたいことを絞って、
残りは現地で気まぐれに予定を立てる、もしくは気まぐれに歩いてみる、
このやり方が一番自分にしっくりきている事が、オランダ旅行も含め、最近わかってきました。


なので、今回の旅行もばっちり!

充実しているけれど、ゆったりした旅行が実現できました(^_^)






湖上のオペラは、圧巻でした。

単純に、舞台セットがすごい!!!
劇場で聴くのとはまた違った楽しさがありました。














































これだけのセットがあると、演出だけでもかなりのスケールの大きさを表現できます。
正直、歌い手の歌唱力に多少何かあってもさほど気にならず(笑)、
それよりも、ファンタジックな大きな世界に引き込んでもらえることが、
本当に贅沢な楽しみ方だなと、感じました。


これが、たったの28ユーロで観られてしまう・・・。
今は異常な円高ですが、3000円しない。
まあ、後ろの一番安い席の値段ですがね。

観客席もほぼ満席だったし、
連日上演されているにも関わらず、きっと集客は同じような感じなのでしょう。

クラシック音楽を演奏する人、聴く人が互いに支え合いがあっての、実現。

日本も、こういう価値観が浸透していけばいいのになと、ひしひしと感じた夜でした。



終わる頃には、23時半をまわり、コートがないと、非常に寒い状況。
カーディガン1枚で対抗した僕は、言うまでもなく、冷え切ったのでした。





マイナウ島も、本当に綺麗な場所でした!

花の島と言われるだけあって、かなりの種類の花が咲いていて、
相方ニコール(カメラ)を連れた僕の血は、最高潮に騒いだのです。

ということで早速、ブログの背景にマイナウ島の素敵な花を使ってみました。
如何でしょう?
























木の幹に登る僕を撮影してくれた友人。
僕は時々、少年の顔になるそうです・・・写真のように(笑)



















こんな、ビーチのような場所もある、素敵なマイナウ島。

























これは、イタリア式階段の滝という、マイナウ島の見せ場の一つ。



でも、人工的なテイストのするものよりも、
シンプルに咲いている花のほうが、色んな表情を見ることができて、楽しかったです。








































































































・・・、なんだか、ブログの背景と重なって、やたら花だらけなブログになっております(笑)
まあ今回の投稿だけなので、ご勘弁を!