2012/05/27

憧れ・・・からの、固ーい話。


最近、ベートーヴェンのあるピアノソナタを勉強し始めました。



皆さん、憧れの曲ってありますか?
好きな曲・・・とはちょっと違って、憧れの曲。

僕にとって憧れの曲は、
初めて出会った時には衝撃を受け、共感しつつも畏れ多さをも感じ、
人生の中で、いつどのタイミングで自分が弾くことになるのか、大切に大切に想い続けている、
そんな曲のことをいいます。




ベートーヴェンのピアノソナタの作品101は、僕の憧れの曲です。

いつ弾くのかなーとずっと考えていましたが、
今年夏の仕事で弾くことになるというまさかの展開で(笑)、今このタイミングで勉強をしています。


とても嬉しいのですが、なんと言えばいいのか・・・、
人生で願い事が3回だけ叶う、その1回を使ってしまったような感覚でもあります。(笑)

いやぁ、しかし難しい。
でも、骨があってこその憧れの曲だと、嬉しさもあります。






他にどんな曲に憧れを持っているだろうと、ふと考えてみた。

※完全に自己満化したこのブログ、どうぞお許しください。



・シューベルトのソナタ変ロ長調(D960)
・プロコフィエフのコンチェルト第3番ハ長調
・リストの孤独の中の神の祝福(「詩的で宗教的な調べ」より)



あ・・・、意外と少ないですね。本当に人生であと3回の願い事しかありません(笑)

こう並べてみると、僕は長調が好きみたいですね。全部長調!
(ベートーヴェンイ長調、リスト嬰へ長調)


こう列挙してしまうと、ウィーンにいる間に勉強したくなってしまいますが、
くるべき時がきて、勉強したい。そんな、ちょっとロマンチストな自分がいます(笑)






この曲を弾いたからと言って、何の利益がでるわけでも、何のチャンスが貰えるわけでもない。
それでも、この世にこんな美しいものが存在するんだという事実と、
それを如何に美しく聴かせられるか試行錯誤する過程、
その二つに触れられることが音楽家の至福であって、音楽家の使命であるのだと思います。


それは、その物の本質を伝えることだと認識していますが、
よくそこに、「個性」という問題も絡んできます・・・。



今の世の中で、個性は大事なキーワードですよね。
その人独自のアイデア、何か新しい発想、つまりは個性。
常に新しいもの、より良いものを生み出していくのが人間です。

音楽においてもそういう面はあります。
特に作曲においては、常に新しいものを生み出していかないといけない、
そんな使命感に追われている印象を受けます。

今となって、ショパンのように美しい旋律と和声の曲を作ることは、認められないのでしょうか?
僕は演奏家なので、わかり兼ねることがあります。


演奏家においても、厳しいこの世界を生き抜くためには、
人と違う何か、というものは必要です。
それは、聴いている人に対して、注意を引くというか・・・印象に残らないと、話にならない。


でもそれを、独自の解釈を用いてクラシックの音楽を演奏するのは違う気がします。






僕は、常に、「模倣」の世界だと考えています。

勿論、形のない音楽に、正しい見本なんて存在しないのですが、
その音楽の然るべき姿・形があって、それを、言ってしまえば再現(復元?)する。

美術の世界に模写があるのと同じような感覚かな。



だから、楽譜に書かれているメッセージを注意深く読み取って、
それを忠実に再現しなければならない。そんな使命があると思うのです。
極端な話、そこに、その人のオリジナリティーなんて要らない。


では、そこにクリエイティブな要素は無いのか!?
そんなことはない。

あくまでも、向き合い方、姿勢の話。
模写でいうならば、ある色を忠実に再現しようと思ったときに、
その色が黄色であるという事実は受け止めて、
その黄色がどんな黄色であるのかは、感じた人に委ねられる。
そのアプローチに、その人の個性が生まれるのです。



僕は、この信念を支えに、勉強を続けてきました。
勿論、揺らいだことも何度もあります(笑)

音楽が頭でっかちになりがちだし、そうなると大きな世界も表現できない。

でもそれは、ウィーンでの生活で、自分にはない考え方や価値観、
そして初めてみる世界を自分の中に吸収していくことで、克服されていくのだと思います。




と、またまた話がぶっ飛んでしまいました。(笑)
でも、こういうことって、少しずつ言葉にできるようになっていかないとマズいですよね・・・。
自分の信念に、しっかりと芯が通っている人の話を聞くと、よく焦ります(笑)




では、皆さん、良い週末を!










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